土地家屋調査士への相談前に準備するもの|測量・境界・登記の必要書類を解説
この記事の結論
相談前に「登記事項証明書」「公図」「固定資産税通知書」の3点を手元に用意するとスムーズです。なくても相談は可能ですので、まずはお気軽にご連絡ください。

土地家屋調査士への相談、何から始める?【完全ガイド】

土地の測量や境界確認、建物の登記について専門家に相談したいけれど、「何を用意すればいいかわからない」「書類が揃っていないと相手にされないのでは?」と不安に感じていらっしゃる方は少なくありません。
ご安心ください。結論から申し上げますと、手元に資料が全くなくても、ご相談いただくことは全く問題ありません。
もちろん、いくつかの書類があると、お持ちの不動産の状況を正確に把握でき、より具体的なアドバイスや費用・期間の概算をお伝えしやすくなります。しかし、最も大切なのは、お客様が何にお困りで、何を解決したいのかを私たち専門家が理解することです。
この記事では、土地家屋調査士(不動産の表示に関する登記の専門家)である私が、ご相談前に準備しておくとスムーズな基本資料から、相談内容ごとに役立つ書類、そして「何も書類がない」という場合の対処法まで、わかりやすく解説します。
まずこれだけ!相談がスムーズになる基本資料リスト
土地家屋調査士へご相談いただく前に、もしお手元にあればご用意いただきたい資料の一覧です。優先度の高いものから順に記載していますが、すべてを揃える必要は全くありません。
優先度 | 書類名 | この書類で分かること |
|---|---|---|
最優先 | 登記事項証明書(登記簿謄本) | 土地・建物の所有者、所在地、地番、面積(地積)、種類(地目)など、法的な基本情報 |
最優先 | 公図(または地図) | 土地のおおまかな形、位置、隣接地や道路との関係性 |
最優先 | 固定資産税課税明細書 | 自治体が把握している課税対象の土地・建物、評価額など。未登記建物の手がかりになることも |
高 | 地積測量図・古い測量図 | 過去に行われた測量の結果、土地の正確な寸法、境界点の位置など |
中 | 境界確認書(筆界確認書) | 隣接地の所有者と境界について合意したことを証明する書類 |
中 | 売買契約書・重要事項説明書 | 不動産を購入した際の土地・建物の詳細な説明内容 |
中 | 現地(スマートフォン等で撮影した)写真 | 境界標の有無、ブロック塀やフェンスの状況、越境物の有無など、現地のリアルな状況 |
参考 | 建築確認済証・検査済証 | 建物の新築や増築が法的に許可されていることの証明 |
繰り返しになりますが、これらの書類がなくてもご相談は可能です。土地の所在地(住所や地番)と、お困りごとさえ教えていただければ、私たちが調査を進めることができます。
相談前にあると便利な基本資料(3点セット)
特に重要なのが「登記事項証明書」「公図」「固定資産税課税明細書」の3つです。これらがあると、お客様の不動産の現状を多角的に把握できます。
1. 登記事項証明書(登記簿謄本)
登記事項証明書は、その不動産の「公式なプロフィール」です。法務局で管理されており、誰が所有者で、どのような土地・建物なのかが記録されています。
なぜ必要か?
ご相談の対象となる不動産を正確に特定するために不可欠です。地番が分かれば、私たちが業務として取得することも可能です。
- 主な記載内容: 所在、地番、地目(宅地、畑など)、地積(面積)、所有者の住所・氏名など。
- 取得場所: 全国の法務局窓口、またはオンラインの「登記・供託オンライン申請システム」で取得できます。
- 費用目安: 1通あたり480円~600円程度です。
2. 公図
公図は、法務局に備え付けられている「土地の地図」です。土地の形状、隣接地との位置関係、道路との接続状況などがわかります。
なぜ必要か?
境界確定測量や分筆登記では、隣接するすべての土地との境界を確認する必要があります。公図があれば、関係する土地の範囲を把握し、作業の規模を見積もるのに役立ちます。
私の経験では、特に足立区のような古くからの市街地では、公図と現地の状況が大きく異なっているケースも珍しくありません。公図はあくまで「おおまかな位置関係を示すもの」と捉え、現地の状況と照らし合わせることが重要です。
- 主な記載内容: 土地の区画(地番)、隣接地、道路、水路など。
- 取得場所: 法務局窓口、またはオンラインで取得できます。
- 費用目安: 1通あたり450円~500円程度です。
3. 固定資産税課税明細書
毎年春ごろに、市区町村から送られてくる固定資産税の納税通知書に同封されている書類です。課税対象となっている土地や建物の情報が記載されています。
なぜ必要か?
法務局の登記情報にはない「未登記の建物」を発見する重要な手がかりになります。例えば、登記されていない古い離れや物置が課税対象になっている場合、この明細書に記載されています。
- 主な記載内容: 課税対象の土地・建物の所在地、面積、評価額など。
- 注意点: あくまで課税のための情報であり、法務局の登記情報と必ずしも一致しません。しかし、相続案件などでは、ご家族も把握していなかった建物の存在が判明するきっかけになります。
【目的別】こんな相談にはこの書類があるとスムーズ

ご相談内容によって、特に重要となる書類は異なります。ここでは代表的なケースごとに、あると役立つ書類をご紹介します。
土地を売却したい
土地売却では、買主に対して境界が明確であることを示す必要があります。そのため、過去の測量に関する資料が重要になります。
- 特に重要な書類: 地積測量図、確定測量図、境界確認書
- その他あると良い書類: 登記事項証明書、公図、売買契約書、現地写真
もし「確定測量図」や「境界確認書」があれば、売却までの手続きが非常にスムーズに進みます。逆に、これらの書類がない場合、売買契約の条件として境界確定測量を求められることがほとんどです。
相続した土地について相談したい
相続では、まず「何を相続したのか」という財産の全体像を把握することが第一歩です。2024年4月からは相続登記も義務化され、専門家への相談の重要性が増しています。
- 特に重要な書類: 固定資産税課税明細書、名寄帳(なよせちょう)
- その他あると良い書類: 登記事項証明書、公図、古い測量図、遺産分割協議書(あれば)
「名寄帳」は市区町村で取得でき、その人が所有する不動産の一覧が記載されています。これにより、把握していなかった土地や建物の存在がわかることがあります。相続した土地を兄弟で分けたい(分筆したい)場合などは、土地家屋調査士が測量や登記でお手伝いします。
家の建て替え・新築を検討している
建物を建てる際には、敷地の正確な面積や形状、道路との関係を法的に明らかにする必要があります。
- 特に重要な書類: 地積測量図、建築計画概要書、建築確認済証
- その他あると良い書類: 登記事項証明書、公図、現地の写真
特に、敷地が建築基準法上の道路に2m以上接しているか(接道義務)は非常に重要です。また、お隣の建物が境界を越えていないか(越境)、自分の敷地に境界標がすべてあるかなどを事前に確認することで、後のトラブルを防げます。
土地を2つ以上に分けたい(分筆登記)
一つの土地を複数に分割する「分筆登記」は、土地家屋調査士の専門分野です。分筆するには、その土地全体の境界が確定していることが大前提となります。
- 特に重要な書類: 地積測量図、境界確認書、どのように分けたいかを示す簡単な図
- その他あると良い書類: 登記事項証明書、公図
「なぜ分けたいのか(売却、相続、贈与など)」という目的を教えていただけると、分割方法についてより的確なアドバイスが可能です。例えば、建築を目的とする場合は、分割後の土地がそれぞれ接道義務を満たすように計画する必要があります。
未登記の建物や増築部分を登記したい(建物表題登記)
建物を新築したり、登記されていない古い建物を相続したりした場合、その建物の物理的な状況を明らかにする「建物表題登記」が必要です。
- 特に重要な書類: 建築確認済証、検査済証、工事完了引渡証明書、建築図面
- その他あると良い書類: 固定資産税課税明細書、売買契約書、建物の写真
古い建物で建築当時の書類が何もないというケースもよくあります。その場合でも、固定資産税の情報や現地調査、関係者からの聞き取りなどから、登記に必要な情報を集めていくことが可能ですので、諦めずにご相談ください。
現地写真が最高の資料になることも
書類の準備が難しい場合でも、スマートフォンのカメラで現地の写真を撮ってお送りいただくだけで、状況把握が格段に進みます。オンラインでのご相談でも非常に役立ちます。
特に撮影していただきたいポイントは以下の通りです。
- 土地全体の様子がわかる写真
- 道路と敷地の境界部分
- 境界標らしきもの(コンクリート杭、金属プレート、刻印など)
- ブロック塀やフェンスなど、隣地との境界にある構造物
- 雨どいやエアコンの室外機など、越境していそうな物
- 建物の全景(特に増築した部分があればその箇所)
プロのような綺麗な写真である必要はありません。「ここが気になっている」という点がわかるだけで、私たち専門家にとっては貴重な情報となります。
書類がなくても大丈夫!手ぶらでの相談も歓迎です
ここまで様々な書類を挙げてきましたが、これらの書類が一つもなくても、ご相談は全く問題ありません。
「相続したばかりで、どこに何があるか分からない」「親が管理していたので、書類の場所が不明」といったケースは非常に多いです。
ご安心ください。土地家屋調査士は、お客様からいただいた情報(所在地など)をもとに、法務局や役所で必要な資料を調査・取得する権限(職務上請求権)を持っています。
ご相談の際は、まず以下の内容をわかる範囲でお伝えください。
- 土地や建物の所在地(住所や地番)
- ご相談したい内容(例:「土地を売りたい」「境界で揉めている」)
- なぜそうしたいのか(目的:売却、相続、新築など)
- お分かりになれば、境界標の有無や隣地との関係
完璧な準備は不要です。まずはお客様のお悩みやご希望をお聞かせいただくことが、問題解決への第一歩です。
ご相談前セルフチェックリスト
お問い合わせの前に、以下の項目を確認しておくと、より話がスムーズに進みます。もちろん、チェックがつかなくても全く問題ありません。
チェック項目 | はい・いいえ |
|---|---|
土地・建物の所在地(住所・地番)がわかる | |
登記事項証明書が手元にある | |
公図が手元にある | |
固定資産税課税明細書が手元にある | |
古い測量図や地積測量図が手元にある | |
境界確認書(筆界確認書)が手元にある | |
現地の写真を撮った | |
相談したい目的(売却、相続など)が決まっている | |
隣地との間にトラブルや気になる点がある |
一つでも「はい」があれば、より具体的なお話ができます。すべて「いいえ」でも、そこから一緒に解決策を探していくのが私たちの仕事です。
よくある質問
Q. 書類が何もなくても本当に相談できますか?
A. はい、もちろんです。土地の所在地(住所や地番)さえ分かれば、私たち専門家が必要な調査を行うことができます。相続したばかりで資料がどこにあるか分からない、という方も多くいらっしゃいますので、まずはお気軽にご連絡ください。
Q. 登記事項証明書や公図は自分で取る必要がありますか?
A. 必須ではありません。もしお手元にあればご相談がスムーズになりますが、取得方法が分からない場合や、お時間がない場合は、私たちが代理で取得することも可能です。その旨お伝えいただければ対応いたします。
Q. 相談は無料ですか?
A. はい、当事務所では初回のご相談は無料で承っております。お電話やお問い合わせフォームからご連絡いただき、状況をお伺いした上で、必要な手続きや費用の概算についてご説明します。ご納得いただけないまま費用が発生することはありませんので、ご安心ください。
Q. 境界標の写真はどう撮ればいいですか?
A. 境界標らしきもの(コンクリート杭、金属プレート、十字の刻印など)を見つけたら、まずその周りを少し掃除して全体が写るように撮影してください。さらに、少し引いた位置から、その境界標とブロック塀や建物との位置関係がわかるような写真も撮っていただけると大変参考になります。ただし、ご自身で動かしたり掘り起こしたりすることはお控えください。境界標を無断で移動・損壊し、土地の境界を認識できない状態にする行為は、境界損壊罪(刑法第262条の2)に問われるおそれがあります。
Q. 相続した土地で、何から相談すればよいか分かりません。
A. まずは、相続した不動産がどこに、どれだけあるのかを把握することが大切です。固定資産税課税明細書や名寄帳がその手助けになります。その上で、「将来的に売りたい」「子供たちのために分割したい」「境界がはっきりしないので不安」といったご希望や不安をお聞かせください。司法書士や税理士とも連携し、お客様にとって最適な進め方をご提案します。
Q. 相談したら、費用や期間の目安はわかりますか?
A. はい、お持ちの資料や現地の状況をお伺いできれば、概算の費用と標準的な期間の目安をご提示できます。ただし、境界確定測量などは、隣接地の数や官有地(道路や水路)との隣接状況、隣地所有者様との調整の難易度によって変動します。正式なご依頼の前に、必ず詳細なお見積書を提出し、内容をご説明いたします。

代表 土地家屋調査士 大崎 英一
登録番号 東京都 第8438号
初回のご相談では、登記簿謄本と現地の写真をご用意いただけるとスムーズです。費用や期間の概算もその場でお伝えできます。

