合筆登記とは?できる土地・できない土地の条件と費用を解説
この記事の結論
合筆登記は土地の管理を簡素化し資産価値を高める可能性がある一方、条件が厳密に定められています。専門家への相談が成功の鍵です。
Guide Contents
土地の分筆・合筆・地目変更ガイド
- 【土地家屋調査士が解説】分筆登記の費用相場と兄弟で土地を分ける手順完全ガイド
- 合筆登記とは?できる土地・できない土地の条件と費用を解説現在地
- 田畑から宅地へ地目変更登記|費用・税金・ローンへの影響

合筆登記とは?複数の土地を一つにまとめる手続きの基本
複数の土地を所有していると、管理が煩雑になったり、土地活用に制限が出たりすることがあります。そんな悩みを解決する手続きが「合筆登記(がっぴつとうき)」です。合筆登記とは、隣接する複数の土地(筆)を、登記簿上ひとつの土地にまとめる手続きのことを指します。
【用語解説】合筆登記(がっぴつとうき)
隣接する複数の土地を、法務局の登記簿上で一つの土地として合算する登記手続きのこと。土地の管理を簡素化したり、土地の利用価値を高めたりする目的で行われます。
土地の管理をシンプルにする「合筆登記」の目的
合筆登記の最大の目的は、土地の管理をシンプルにすることです。例えば、相続によって細かく分かれてしまった土地や、買い増して複数筆になった土地を所有している場合、固定資産税の納税通知書が土地の数だけ届き、管理が大変になります。合筆登記を行うことで、これらの土地が一つにまとまり、管理の手間やコストを削減できる可能性があります。
「分筆登記」との違いは?土地を「合わせる」か「分ける」か
合筆登記とよく比較されるのが「分筆登記(ぶんぴつとうき)」です。この二つの違いは非常にシンプルです。
- 合筆登記:複数の土地を「合わせる」手続き
- 分筆登記:一つの土地を複数に「分ける」手続き
例えば、兄弟で土地を相続し、それぞれの持ち分を明確にしたい場合は分筆登記が必要です。逆に、兄弟がそれぞれ相続した隣接する土地を、将来一体として活用するためにまとめる場合は合筆登記を検討します。詳しくは「【土地家屋調査士が解説】分筆登記の費用相場と兄弟で土地を分ける手順」でも解説しています。
登記簿上、土地が一つになることの法的な意味
合筆登記が完了すると、法務局の登記簿上、複数の土地は法的に「一個の土地」として扱われます。これにより、地番(土地の番号)は一つに統合され、売買や担保設定などの法律行為も、その一つの土地全体に対して行われることになります。物理的に土地をくっつける工事をするわけではなく、あくまで法律上の取り扱いが変わる、という点がポイントです。
私の経験から:なぜ今、合筆登記を検討する方が増えているのか
私の事務所がある足立区千住周辺でも、合筆登記に関するご相談は少なくありません。特に多いのが、親から相続した複数の小さな土地をまとめて、アパート経営や駐車場として活用したいというケースです。また、隣地を買い増して自宅の敷地を広げた際に、一体の土地としてスッキリさせたいというご相談も増えています。土地の有効活用や資産価値向上への意識が高まる中で、その第一歩として合筆登記が選ばれる場面が増えていると感じます。
【条件チェックリスト】あなたの土地は合筆できる?必須要件
合筆登記は、どんな土地でも自由にできるわけではありません。不動産登記法という法律で、合筆できる土地の条件が厳密に定められています。ご自身の土地が合筆可能か、以下のチェックリストで確認してみましょう。
【用語解説】地目(ちもく)
土地の用途による区分のこと。宅地、畑、田、山林、雑種地など23種類が法律で定められています。登記簿に記載されており、固定資産税の評価額にも影響します。

- 要件1:土地同士が隣接していること
合筆したい土地同士が、物理的に接している必要があります。道路や水路を挟んで向かい合っている土地は、隣接しているとは見なされず、合筆できません。 - 要件2:地目(土地の用途)が同じであること
合筆するすべての土地の地目が同一でなければなりません。例えば、「宅地」と「畑」を合筆することはできません。もし地目が異なる場合は、先に地目を統一する「地目変更登記」を行う必要があります。 - 要件3:所有者(登記名義人)が同じであること
すべての土地の登記名義人が、氏名・住所ともに完全に一致している必要があります。共有名義の場合は、共有者の構成や持分割合もすべて同じでなければなりません。 - 要件4:所有権以外の権利関係が同一であること(抵当権など)
土地に抵当権や地上権などの権利が設定されている場合、その内容がすべての土地で同一である必要があります。ただし、抵当権が一切設定されていない土地同士であれば、この条件はクリアできます。これは合筆登記で最も複雑な要件の一つです。 - 要件5:市区町村が同じであること
合筆する土地は、すべて同じ市区町村に所在している必要があります。また、大字・字・丁目も同じである必要があります。
これらの条件は、不動産登記法第41条に定められています。一つでも満たせない条件があると、合筆登記の申請は却下されてしまいます。ご自身での判断が難しい場合は、専門家である土地家屋調査士にご相談ください。
※詳細は専門家にご相談ください。
シチュエーション別|合筆登記の具体的な活用事例とメリット
合筆登記は、具体的にどのような場面で役立つのでしょうか。ここでは、よくある4つのケースとそのメリットをご紹介します。
ケース 1: 相続で細かく分かれた土地をまとめて管理・売却しやすくする
親から複数の土地を相続したAさんのケース。隣接しているものの、3筆に分かれており、固定資産税の通知も別々に届いていました。将来、土地を売却することも考えていたAさんは、合筆登記を行いました。結果、登記簿上は一つの大きな土地となり、管理が楽になっただけでなく、買い手にとっても魅力的な一つの土地としてアピールできるようになり、スムーズな売却に繋がりました。
ケース 2: 隣接地を買い増し、一体の土地として利用価値を高める
自宅の隣の空き地を購入したBさんのケース。購入した土地は別々の地番のままでした。Bさんは、新しく購入した土地と元々の自宅の土地を合筆し、一つの敷地として登記をまとめました。これにより、増築や建て替えの際に、一体の土地として建築計画を立てやすくなり、土地全体の利用価値を高めることができました。
ケース 3: 担保価値を向上させ、金融機関からの融資を有利に進める
事業資金の融資を検討していたCさんのケース。所有する2筆の土地は、それぞれが不整形な形をしており、単独では担保としての評価が低い状態でした。そこで合筆登記を行い、一つの整形な土地にまとめました。これにより、土地の担保価値が向上し、金融機関から希望額の融資を受けることができました。土地の形状が良くなることで、評価額が上がることがあります。
ケース 4: 固定資産税の管理を簡素化し、納税の手間を省く
複数の小さな土地を駐車場として貸しているDさんのケース。毎年、土地の筆数分の固定資産税納税通知書が届き、その管理と支払いに手間を感じていました。合筆登記によって土地を一つにまとめた結果、納税通知書は1通になり、経理上の管理が大幅に簡素化されました。税額自体が大きく変わるわけではありませんが、管理コストの削減というメリットは大きいでしょう。
土地家屋調査士が解説!合筆登記の費用相場と期間の目安
合筆登記を専門家である土地家屋調査士に依頼する場合、どれくらいの費用と期間がかかるのでしょうか。ここではその内訳と目安について解説します。
費用の内訳:土地家屋調査士への報酬と登録免許税
合筆登記にかかる費用は、大きく分けて2つあります。
- 土地家屋調査士への報酬:法務局での資料調査、申請書類の作成、登記申請の代理など、手続き全般に対する専門家への手数料です。
- 登録免許税:登記を申請する際に国に納める税金です。
この他に、事前の調査で登記事項証明書や公図などを取得するための実費が数千円程度かかります。測量を伴わないため、測量費用の相場と比較すると費用は抑えられる傾向にあります。
【相場】土地家屋調査士の報酬と登録免許税
合筆登記の費用は、土地の筆数や権利関係の複雑さによって変動しますが、一般的な目安は以下の通りです。
項目 | 費用目安 |
|---|---|
土地家屋調査士報酬 | 5万〜15万円 |
登録免許税 | 合筆後の土地1筆につき1,000円 |
合計 | 約5.2万〜15.2万円(実費含む) |
登録免許税の計算方法:合筆する土地1筆につき1,000円
登録免許税は、合筆前の土地の筆数ではなく、合筆によって一つになった後の土地1筆に対して1,000円と定められています。例えば、3筆の土地を1筆に合筆する場合でも、登録免許税は1,000円です。非常にシンプルな計算方法です。
期間の目安:ご依頼から登記完了まで約2週間~1ヶ月半
ご依頼いただいてから登記が完了するまでの期間は、通常約2週間から1ヶ月半程度です。期間に幅があるのは、法務局での事前調査にかかる時間や、法務局の混雑状況によって登記審査の期間が変動するためです。特に、相続が絡むなど権利関係が複雑な場合は、調査に時間がかかることがあります。
意外な落とし穴?合筆登記でよくある失敗事例と注意点
合筆登記は条件さえ満たせば比較的シンプルな手続きですが、思わぬ落とし穴もあります。ここでは、実際にあった失敗事例と、事前に知っておくべき注意点をご紹介します。

失敗事例1: 地目が違うまま申請してしまい、却下されてしまった
Eさんは、見た目は一体の土地として利用している隣接する2筆の土地を合筆しようとしました。しかし、片方の地目が「宅地」、もう一方が「公衆用道路」のままだったため、法務局から申請を却下されてしまいました。事前に地目変更登記が必要でしたが、その確認を怠ったため、時間と手間が無駄になってしまいました。
失敗事例2: 抵当権の種類が異なり、合筆できなかったケース
Fさんは、住宅ローンを組んでいる自宅の土地と、後から現金で購入した隣地を合筆しようとしました。自宅の土地には金融機関の抵当権が設定されていましたが、隣地には抵当権がありませんでした。このように、所有権以外の権利関係が異なると合筆はできません。Fさんは、ローンを完済して抵当権を抹消するまで、合筆登記ができないことを知りました。
注意点:一度合筆すると、元の状態に戻すには分筆登記が必要になる
最も重要な注意点は、一度合筆した土地を元の複数の土地に戻すことは自動的にはできないという点です。もし将来、土地の一部だけを売却したいなどの理由で分割する必要が生じた場合は、改めて「分筆登記」の手続きが必要になります。分筆登記には測量が必要となるため、合筆登記よりも費用と時間がかかります。合筆は慎重に検討することが大切です。
足立区の事例:古い登記簿で所有者情報が異なっていたケース
足立区にお住まいのGさんからのご相談でした。先代から相続した隣接する土地の合筆を希望されていましたが、法務局で調査したところ、片方の土地の登記簿上の所有者住所が、数十年前の古い地名のまま更新されていないことが判明しました。このままでは所有者が同一と見なされず合筆できないため、先に住所変更の登記(登記名義人住所変更登記)を行ってから、合筆登記を申請しました。このように、古い登記簿では思わぬ記載の不一致が見つかることがあります。
合筆登記の手順を5ステップで解説
土地家屋調査士に合筆登記を依頼した場合、どのような流れで進むのでしょうか。ここでは、当事務所にご依頼いただいた際の基本的な流れを5つのステップでご紹介します。
- STEP1|土地家屋調査士へのご相談・お見積もり:まずはお電話やお問い合わせフォームからご相談ください。土地の状況(所在地、筆数など)をお伺いし、合筆の可否を簡易的に判断した上で、概算の費用と期間をご提示します。
- STEP2|資料調査・現地確認:ご依頼いただけましたら、法務局で登記簿や公図、地積測量図などの資料を詳細に調査します。必要に応じて現地も確認し、合筆の条件をすべて満たしているかを専門家の目で最終チェックします。
- STEP3|登記申請書類の作成・ご署名ご捺印:調査結果に基づき、当事務所で登記申請に必要な書類一式(登記申請書、委任状など)を作成します。作成した書類の内容をお客様にご説明し、ご確認いただいた上でご署名とご捺印をいただきます。
- STEP4|法務局への登記申請:お客様からお預かりした書類と当事務所で作成した書類を揃え、管轄の法務局へ合筆登記をオンラインで申請します。申請後、法務局の登記官による審査が行われます。
- STEP5|登記完了・成果品のお渡し:通常、申請から1〜2週間程度で登記が完了します。法務局から登記完了証が発行されたら、新しい権利証となる「登記識別情報通知」と合わせて、調査資料などをまとめた成果品をお客様にお渡しして、手続きはすべて終了です。
ご相談前に!準備しておきたい書類チェックリスト
合筆登記について土地家屋調査士に相談する際、事前に以下の書類をご準備いただくと、お話がスムーズに進みます。もちろん、すべてが揃っていなくてもご相談は可能ですので、ご安心ください。
【用語解説】登記識別情報通知
平成17年の不動産登記法改正以降、従来の「権利証(登記済証)」に代わって発行されるようになった書類。12桁の英数字のパスワードが記載されており、不動産の権利に関する登記を申請する際に本人確認情報として利用されます。
- 【必須】登記済権利証または登記識別情報通知
その土地の所有者であることを証明する最も重要な書類です。ご相談の際に、どの土地に関するものかを確認させていただきます。 - 【必須】ご本人様確認書類と印鑑
運転免許証やマイナンバーカードなどのご本人様確認書類と、認印(委任状に押印いただくため)をご用意ください。 - 【あるとスムーズ】固定資産税の納税通知書
毎年春に市区町村から送られてくる書類です。所有している土地の地番や地積、評価額などが一覧で記載されているため、土地の状況を正確に把握するのに役立ちます。 - 【あるとスムーズ】地積測量図や公図などの図面類
法務局で取得した図面や、土地購入時に受け取った書類一式の中に含まれていることがあります。土地の形状や位置関係を把握する上で参考になります。
これらの書類の探し方や見方がわからない場合でも、当事務所で調査することが可能です。まずは土地家屋調査士への相談前に準備するものを参考に、お手元にあるものをご確認ください。
合筆登記に関するよくあるご質問 (FAQ)
Q. 合筆登記をすると、土地の地番はどうなりますか?
合筆後の地番は、合筆前の土地の中で最も若い番号(首位地番)が引き継がれるのが一般的です。他の地番は登記簿上閉鎖されます。
Q. 道路を挟んだ向かい側の土地も合筆できますか?
いいえ、できません。合筆登記の条件として、土地同士が物理的に隣接している必要があります。道路や水路で隔てられている土地は合筆の対象外です。
Q. 抵当権が付いている土地は合筆できないのでしょうか?
一概にできないわけではありません。複数の土地に設定された抵当権の受付年月日、受付番号、登記原因がすべて同一であれば合筆可能です。しかし、一つでも異なると合筆はできません。
Q. 自分で合筆登記の手続きをすることは可能ですか?
ご自身で手続きすることも不可能ではありません。しかし、条件の確認や書類作成が複雑なため、専門家である土地家屋調査士に依頼するのが一般的で確実です。
Q. 合筆登記をしないことによる罰則はありますか?
合筆登記は所有者の任意で行うものであり、義務ではありません。そのため、合筆しなくても罰則が科されることはありません。
Q. 合筆すると固定資産税は安くなりますか?
合筆によって土地の評価額が大きく変わることは少ないため、固定資産税が大幅に安くなるケースは稀です。ただし、土地の形状が整形になることで評価が若干変わる可能性はあります。
Q. 合筆した土地を、後から元の筆に分けることはできますか?
はい、可能です。ただし、その場合は「分筆登記」という別の手続きが必要になります。合筆登記のように自動で元に戻るわけではないので注意が必要です。
まとめ:合筆登記は専門家と相談しながら慎重に
この記事では、合筆登記の基本的な知識から、具体的な条件、費用、注意点までを解説しました。合筆登記は、複数の土地を一つにまとめることで管理を簡素化し、資産価値を高める可能性がある有効な手続きです。しかし、地目や権利関係など、満たすべき条件が法律で厳密に定められており、一度合筆すると簡単には元に戻せないという側面もあります。
ご自身の土地が合筆可能なのか、また本当に合筆することが最善の選択なのか、判断に迷われることも多いかと思います。そんな時は、ぜひ専門家である土地家屋調査士にご相談ください。専門的な視点から、お客様の状況に合わせた最適なアドバイスをさせていただきます。
土地の測量・境界確定について不安な点がありましたら、足立区千住の土地家屋調査士大崎事務所までお気軽にご相談ください。無料相談を受け付けております。
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代表 土地家屋調査士 大崎 英一
登録番号 東京都 第8438号
合筆登記とは、複数の土地を一つにまとめる手続きです。この記事では、土地家屋調査士が合筆できる土地の7つの条件、費用相場、期間、具体的な活用事例や失敗例をわかりやすく解説します。足立区でのご相談も承ります。
Topic Guide
土地の分筆・合筆・地目変更ガイド
土地を分ける分筆登記、まとめる合筆登記、用途を変える地目変更登記の条件・費用・手順を集約。
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