売却

土地を売る前に確認すべきこと|境界・測量・登記・越境リスクを解説

この記事の結論

土地を売る前に最優先で確認すべきことは「境界」と「登記の内容」です。境界未確定のまま売却すると、価格低下・契約後トラブル・売却停止のリスクがあります。

費用目安:15〜80万円
期間目安:8〜16週間
10分で読めます
土地を売る前に確認すべきこと|境界・測量・登記・越境リスクを解説

土地を売る前に確認すべきこと|境界・測量・登記・越境リスクを解説

土地を売却しようとしたとき、不動産会社から「境界は確定していますか」「測量図はありますか」「隣地との境界確認書はありますか」と聞かれることがあります。

土地の売却では、価格や買主探しだけでなく、境界、測量図、登記内容、越境物、未登記建物の有無を事前に確認しておくことが重要です。

これらを確認しないまま売却を進めると、買主や不動産会社から測量を求められたり、引渡し時期が遅れたり、価格交渉や契約条件に影響したりすることがあります。

この記事では、土地家屋調査士の実務に基づき、土地を売る前に確認すべきポイント、測量が必要になるケース、売却前に準備しておきたい資料、費用と期間の目安を解説します。


この記事の結論

土地を売る前に確認すべきことは、主に次の5つです。

確認項目

確認する理由

境界標の有無

隣地や道路との境界が現地で分かるか確認する

測量図・境界確認書

過去に境界確認が行われているか確認する

登記簿の内容

地積・地目・所有者が現況と大きく違わないか確認する

越境物の有無

塀・雨樋・配管・樹木などが隣地と越境していないか確認する

建物の登記状況

未登記建物や滅失未登記がないか確認する

土地を売る前に特に重要なのは、境界と測量図の確認です。

境界があいまいな土地でも、売却そのものが必ずできないわけではありません。

ただし、買主、不動産会社、金融機関から、売却前または引渡し前に境界確定測量や境界確認書の整備を求められることがあります。


土地を売る前に確認すべき5つのこと

1. 境界標があるか確認する

まず確認したいのは、現地に境界標があるかどうかです。

境界標とは、土地と土地の境目を示す杭、金属標、プレート、鋲などのことです。

たとえば、以下のようなものがあります。

  • コンクリート杭
  • 金属標
  • 境界プレート
  • 石杭
  • プラスチック杭

境界標が見当たらない場合、土地の範囲が現地で分かりにくい状態になっている可能性があります。

また、境界標らしきものがあっても、それが現在の境界点を正しく示しているとは限りません。

特に、古い住宅地、私道に接する土地、ブロック塀やフェンスがある土地、隣地との高低差がある土地では、境界標だけで判断せず、測量図や境界確認書と照合することが重要です。


2. 測量図・境界確認書があるか確認する

土地を売る前には、過去の測量図や境界確認書があるかを確認しましょう。

探しておきたい資料は以下です。

  • 確定測量図
  • 現況測量図
  • 地積測量図
  • 境界確認書
  • 隣地との覚書
  • 道路境界に関する資料
  • 購入時の重要事項説明書
  • 売買契約書
  • 建築時の図面

特に重要なのは、確定測量図と境界確認書です。

これらがある場合、過去に隣接所有者等と境界を確認している可能性があります。

ただし、古い測量図や確認書がある場合でも、境界標がなくなっている、隣地が売却されている、道路工事が行われている、現況が変わっているといった場合は、再確認が必要になることがあります。


3. 登記簿の内容を確認する

登記事項証明書を取得し、登記簿の内容を確認します。

土地については、主に以下を確認します。

  • 所在
  • 地番
  • 地目
  • 地積
  • 所有者
  • 抵当権などの権利関係

売却前に注意したいのは、登記簿上の地積と実測面積が異なるケースです。

古い土地では、登記簿上の面積と実際に測量した面積が一致しないことがあります。

その差が大きい場合、売却価格や契約条件に影響することがあります。

また、登記簿上の地目が現況と異なる場合もあります。地目変更登記が必要になるケースでは、土地家屋調査士に相談します。

所有者名義、抵当権の抹消、相続登記など、権利に関する登記は司法書士に相談する領域です。

一方で、地目変更登記、分筆登記、地積更正登記など、不動産の表示に関する登記は土地家屋調査士の領域です。


4. 越境物がないか確認する

土地の売却前には、隣地との間に越境物がないかを確認することも重要です。

代表的な越境物には、次のようなものがあります。

  • ブロック塀
  • フェンス
  • 擁壁
  • 雨樋
  • 屋根の一部
  • 樹木の枝や根
  • 給排水管
  • 室外機
  • 電線や配管

越境物がある場合でも、すぐに撤去しなければならないとは限りません。

実務上は、越境の内容や程度、建て替え予定、売却条件、隣地所有者との関係を踏まえて、覚書や確認書を取り交わすことがあります。

ただし、越境物を放置したまま売却すると、買主から是正を求められたり、価格交渉や契約条件に影響したりすることがあります。

売却前に確認しておくことで、買主への説明や契約条件の整理がしやすくなります。


5. 建物の登記状況を確認する

土地上に建物がある場合は、建物の登記状況も確認しましょう。

特に古い建物では、以下のようなケースがあります。

  • 建物が未登記のまま残っている
  • 増築部分が登記されていない
  • 取り壊した建物の登記が残っている
  • 登記上の床面積と現況が違う
  • 倉庫・車庫・離れが未登記である

土地を更地として売却する場合でも、登記上は建物が残っていることがあります。

その場合、解体後に建物滅失登記が必要になることがあります。

また、未登記建物がある場合は、買主、不動産会社、金融機関から登記の整理を求められることがあります。

建物表題登記や建物滅失登記は、土地家屋調査士が扱う表示登記です。


売却前に測量が必要になるケース

土地を売る前に、必ずすべての土地で測量が必要になるわけではありません。

しかし、次のような場合は、売却前に測量を検討した方がよいです。

  • 境界標が見当たらない
  • 測量図や境界確認書がない
  • 古い測量図しかない
  • ブロック塀やフェンスが境界か分からない
  • 私道に接している
  • 道路との境界が不明確
  • 登記簿面積と実際の面積が違いそう
  • 分筆して売却したい
  • 隣地との間に越境物がある
  • 相続した土地で資料が少ない
  • 買主や不動産会社から確定測量を求められている

測量には、現況測量と境界確定測量があります。

現況測量は、現在の土地の形状や面積を把握するための測量です。

一方、境界確定測量は、隣接所有者等との境界確認を行い、確定測量図や境界確認書を作成する測量です。

売却で求められることが多いのは、境界確定測量です。


境界が未確認のまま売却すると何が起こるか

境界確認が不十分なまま土地を売却しようとすると、次のような問題が起こることがあります。

起こり得ること

内容

売却活動が遅れる

不動産会社や買主から測量を求められる

引渡し時期が延びる

隣地立会いや境界確認書の取得に時間がかかる

価格交渉を受ける

面積や境界の不確実性が価格に反映されることがある

契約条件が増える

「引渡しまでに確定測量を行う」などの条件が付くことがある

買主が不安を感じる

境界・面積・越境リスクを懸念される

隣地との調整が必要になる

立会い、越境確認、覚書作成が必要になる場合がある

「境界が未確認だから売却できない」とまでは言い切れません。

しかし、売却条件やスケジュールに影響しやすいのは事実です。

特に、買主が住宅ローンを利用する場合や、土地を建築用地として購入する場合には、境界や面積の確認が重視されます。


売却前の流れ

土地を売る前の確認は、次の流れで進めると整理しやすいです。

STEP

内容

主な相談先

STEP1

登記事項証明書・公図・地積測量図を確認する

法務局・土地家屋調査士

STEP2

境界標・越境物・建物状況を現地で確認する

土地家屋調査士

STEP3

測量図・境界確認書・購入時資料を探す

売主・不動産会社

STEP4

必要に応じて現況測量・境界確定測量を行う

土地家屋調査士

STEP5

地積更正・分筆・地目変更・建物滅失などを検討する

土地家屋調査士

STEP6

相続登記・抵当権抹消などを確認する

司法書士

STEP7

不動産会社へ売却相談・査定依頼を行う

不動産会社

ポイントは、不動産会社への相談と土地家屋調査士への相談を並行して進めることです。

売却価格や販売戦略は不動産会社が中心になりますが、境界や測量、表示登記の確認は土地家屋調査士が関与する領域です。


売却前に準備しておきたい資料

売却前に以下の資料を用意しておくと、測量や売却相談がスムーズです。

  • 登記事項証明書
  • 公図
  • 地積測量図
  • 確定測量図
  • 境界確認書
  • 現況測量図
  • 固定資産税課税明細書
  • 名寄帳
  • 購入時の売買契約書
  • 重要事項説明書
  • 建築確認済証
  • 建物図面
  • 解体証明書
  • 隣地との覚書
  • 相続関係資料

すべてをそろえる必要はありません。

手元にある資料だけでも、土地家屋調査士や不動産会社に共有すると、必要な作業を判断しやすくなります。


費用と期間の目安

売却前に測量や表示登記が必要になる場合、費用と期間の目安は以下です。

作業

費用目安

期間目安

現況測量

15〜30万円程度

2〜3週間程度

境界確定測量

40〜80万円程度

2〜4ヶ月程度

分筆登記

20〜50万円程度

1〜2ヶ月程度

地積更正登記

10〜30万円程度

1ヶ月程度〜

建物滅失登記

4〜8万円程度

1〜2週間程度

建物表題登記

8〜15万円程度

1〜3週間程度

ただし、費用と期間は土地の状況によって大きく変わります。

隣接地が多い、道路や水路との境界確認が必要、境界標がない、隣地所有者と連絡が取りにくい、相続未了の土地がある場合は、期間が長くなることがあります。


相続した土地を売る場合の注意点

相続した土地を売る場合は、境界や測量に加えて、相続登記も確認する必要があります。

相続登記は2024年4月1日から義務化され、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。正当な理由なく申請しない場合、10万円以下の過料の対象になり得ます。

売買契約自体は個別事情によりますが、買主へ所有権移転登記を行う前提として、相続登記が必要になるのが通常です。

相続した土地では、次の点も確認しておきましょう。

  • 相続人が誰か
  • 遺産分割協議が済んでいるか
  • 相続登記が済んでいるか
  • 境界標や測量図があるか
  • 未登記建物がないか
  • 取り壊した建物の登記が残っていないか
  • 相続人間で売却方針が一致しているか

相続登記は司法書士、境界・測量・分筆・建物滅失登記は土地家屋調査士に相談するのが一般的です。


隣地と境界でもめている場合

隣地所有者と境界について意見が合わない場合は、売却前の測量が難航することがあります。

まずは、資料調査と現地測量を行い、境界の根拠を整理します。

それでも合意が難しい場合には、筆界特定制度を検討することがあります。

筆界特定制度は、法務局が登記されたときの境界である「筆界」を明らかにする制度です。ただし、土地の所有権がどこまであるのかを特定する制度ではありません。

また、境界には「筆界」と「所有権界」があり、境界紛争では両者を区別する必要があります。東京法務局も、筆界特定制度は筆界を探し出す制度であり、所有権界の問題は別途専門家への相談が必要になる場合があると説明しています。

所有権、越境物の撤去、損害賠償などの法律問題が中心になる場合は、弁護士への相談も検討します。


よくある質問

Q. 土地を売る前に必ず測量しなければいけませんか?

必ずすべての土地で測量が必要というわけではありません。

ただし、境界標がない、測量図が古い、境界確認書がない、私道に接している、分筆して売りたいといった場合は、売却前に測量を検討した方がよいです。

買主や不動産会社から、売却条件として境界確定測量を求められることもあります。

Q. 測量なしでも土地は売れますか?

測量なしでも売却できる場合はあります。

ただし、現況のまま売却する場合、買主が境界や面積の不確実性をリスクと見ることがあります。

その結果、価格交渉、契約条件、引渡し時期に影響することがあります。

Q. 売却が決まってから測量しても間に合いますか?

間に合う場合もありますが、境界確定測量は2〜4ヶ月程度かかることがあります。

隣地所有者との立会い、境界確認書の取り交わし、官民境界の確認が必要になると、さらに時間がかかることもあります。

売却を検討し始めた段階で、境界や測量図の状況を確認しておくと安心です。

Q. 境界標があれば確定測量は不要ですか?

境界標があるからといって、必ず確定測量が不要になるわけではありません。

境界標が現在も有効か、過去の測量図や境界確認書と整合しているか、隣地との確認が済んでいるかを確認する必要があります。

古い境界標や、由来が分からない杭だけで判断するのは注意が必要です。

Q. 登記簿の面積と実際の面積が違う場合はどうなりますか?

登記簿上の地積と実測面積が違う場合、売却価格や契約条件に影響することがあります。

差が大きい場合や、登記簿の面積を修正する必要がある場合は、地積更正登記を検討します。

地積更正登記では、前提として境界確定測量が必要になることがあります。

Q. 相続した土地を売る場合、何から始めるべきですか?

まず、相続人、登記名義、境界、測量図、建物の登記状況を確認します。

相続登記が終わっていない場合は司法書士に、境界や測量図が不明な場合は土地家屋調査士に相談します。

土地を売却する予定がある場合は、不動産会社への相談と並行して、測量や登記の確認を進めるとスムーズです。

Q. 隣地が境界立会いに応じてくれない場合はどうなりますか?

まずは、立会いの目的や必要性を丁寧に説明し、日程調整や書面対応を検討します。

それでも境界確認が難しい場合は、筆界特定制度や弁護士相談を検討することがあります。

筆界特定制度は筆界を明らかにする制度であり、所有権や越境物の撤去、損害賠償の問題まで一括して解決する制度ではありません。


まとめ:土地を売る前に、境界・測量図・登記内容を確認する

土地を売る前には、価格査定だけでなく、境界、測量図、登記簿の内容、越境物、建物の登記状況を確認することが重要です。

境界標がない、確定測量図がない、境界確認書がない、登記簿の面積と現況が違う、越境物がある。このような状態で売却を進めると、買主や不動産会社から追加確認を求められ、売却条件や引渡し時期に影響することがあります。

売却を検討し始めた段階で、土地家屋調査士に相談しておくことで、測量や表示登記が必要かどうかを早めに判断できます。

足立区千住周辺で土地の売却、境界確認、売却前の測量、地積更正登記、建物滅失登記について不安がある方は、土地家屋調査士大崎事務所までご相談ください。土地と建物の状況を確認し、売却前に必要な測量や表示登記の進め方をご案内します。

土地家屋調査士 大崎英一

代表 土地家屋調査士 大崎 英一

登録番号 東京都 第8438号

売却前の境界確定は、買主との信頼関係を築く第一歩です。確定測量を済ませておくことで、売却価格の交渉でも有利に進められます。

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