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未登記建物とは?相続・売却前に確認すべきリスクと登記手続きを解説

この記事の結論

未登記建物は売却・融資・相続で大きな障害となります。建物表題登記→所有権保存登記の順で解消でき、費用は8〜20万円が目安です。放置するほど手続きが複雑になるため早めの対応をお勧めします。

費用目安:10〜30万円
期間目安:5〜6週間
11分で読めます
未登記建物とは?相続・売却前に確認すべきリスクと登記手続きを解説

未登記建物とは?相続・売却前に確認すべきリスクと登記手続きを解説

相続した実家や古い建物について、「固定資産税は払っているのに、法務局で登記簿が見つからない」「建物の登記がされていないと言われた」というご相談があります。

このような建物は、未登記建物または未登記家屋と呼ばれます。

未登記建物とは、建物の所在、種類、構造、床面積などを記録する建物表題登記がされていない建物のことです。

古い建物、相続した実家、増築を繰り返した建物、倉庫・車庫・離れなどでは、未登記のまま残っていることがあります。

未登記建物は、日常生活ではすぐに困らないこともあります。しかし、相続、売却、融資、建て替え、解体のタイミングで問題になることがあります。

この記事では、土地家屋調査士の実務に基づき、未登記建物の確認方法、放置するリスク、相続や売却前に必要な手続き、費用と期間の目安を解説します。


この記事の結論

未登記建物がある場合は、まず次の3点を確認しましょう。

確認項目

内容

建物が登記されているか

法務局の登記事項証明書や固定資産税課税明細書で確認する

誰が所有している建物か

相続人、共有者、建築当時の所有者を確認する

今後どうするか

売却、相続、解体、建て替え、所有継続の予定を確認する

未登記建物を解消する基本的な流れは、次のとおりです。

手続き

内容

主な専門家

建物表題登記

建物の所在・種類・構造・床面積などを登記する

土地家屋調査士

所有権保存登記

建物の所有者を権利部に登記する

司法書士

相続登記・所有権移転登記

相続や売買に伴い所有者を変更する

司法書士

建物滅失登記

取り壊した建物の登記を閉鎖する

土地家屋調査士

未登記建物の場合、最初に必要になることが多いのは建物表題登記です。

建物表題登記は、土地家屋調査士が扱う表示登記の領域です。


未登記建物とは

未登記建物とは、法務局に建物の登記がされていない建物のことです。

具体的には、建物の登記簿が存在せず、法務局で建物の登記事項証明書を取得できない状態です。

建物の登記には、大きく分けて次の2つがあります。

登記の種類

内容

主な専門家

表題部の登記

建物の所在、家屋番号、種類、構造、床面積などを記録する

土地家屋調査士

権利部の登記

所有者、抵当権などの権利関係を記録する

司法書士

未登記建物という場合、一般的には表題部の登記そのものがない建物を指すことが多いです。

ただし、実務上は次のようなケースもあります。

  • 建物表題登記はあるが、所有権保存登記がされていない
  • 増築部分が登記されていない
  • 登記上の床面積と実際の床面積が違う
  • 取り壊した建物の登記が残っている
  • 母屋は登記済みだが、倉庫・車庫・離れが未登記

このように、「未登記」といっても状況は一つではありません。

まずは、法務局の登記情報と固定資産税の課税情報を確認し、どの状態なのかを整理することが重要です。


固定資産税を払っていても登記済みとは限らない

よくある誤解が、**「固定資産税を払っているから、建物は登記されているはず」**というものです。

固定資産税の課税と、法務局の登記は別の制度です。

市区町村は、未登記建物であっても現地調査などにより建物を把握し、固定資産税を課税することがあります。

そのため、固定資産税を払っていても、法務局に建物表題登記がされているとは限りません。

未登記建物かどうかを確認するには、次の資料を確認します。

  • 固定資産税課税明細書
  • 名寄帳
  • 法務局の登記事項証明書
  • 建物図面・各階平面図
  • 建築確認済証・検査済証
  • 売買契約書・重要事項説明書
  • 過去の登記識別情報・権利証

固定資産税課税明細書に建物の記載があっても、家屋番号がない、または法務局で登記情報が見つからない場合は、未登記建物の可能性があります。


未登記建物が見つかりやすいケース

未登記建物は、特に次のようなケースで見つかりやすいです。

  • 相続した古い実家
  • 昭和以前に建てられた建物
  • 建築当時の書類が残っていない建物
  • 増築を繰り返している建物
  • 倉庫、車庫、物置、離れ
  • 農家住宅や作業場
  • 親族間で長く使ってきた建物
  • 建て替え前の古い建物
  • 解体予定の空き家

特に相続では、被相続人が長年固定資産税を払っていたため、家族も「当然登記されている」と思い込んでいることがあります。

ところが、売却や相続手続きを進める段階で、法務局に建物の登記がないことが判明するケースがあります。


未登記建物を放置するリスク

リスク1. 売却手続きで支障が出る

未登記建物があると、売却時に問題になることがあります。

売買契約そのものが絶対にできないわけではありませんが、買主、不動産会社、金融機関から、売却前に登記の整備を求められることが多いです。

特に次のような支障が出ることがあります。

  • 買主が所有者を確認しにくい
  • 金融機関の住宅ローン審査で問題になる
  • 抵当権設定が難しくなる
  • 引渡し前に表題登記や保存登記を求められる
  • 売却スケジュールが遅れる
  • 解体予定の場合も、建物の扱いを整理する必要がある

そのため、相続した建物や古い建物を売却する予定がある場合は、早めに登記状況を確認しておくことが重要です。


リスク2. 融資や担保設定で問題になりやすい

住宅ローンや事業資金融資では、建物を担保にすることがあります。

未登記建物は、法務局に建物の情報や権利関係が記録されていないため、金融機関の審査や担保設定で問題になりやすいです。

金融機関から、建物表題登記や所有権保存登記を求められることがあります。

特に、建物を含めて売買する場合や、相続した建物を担保に融資を受ける場合は、登記の整備が必要になる可能性が高くなります。


リスク3. 相続人間でトラブルになりやすい

未登記建物は、登記簿上の所有者が確認できません。

そのため、相続時に次のような問題が起こることがあります。

  • 誰が建物を相続するのか分かりにくい
  • 相続人間で建物の評価をめぐって意見が分かれる
  • 土地は相続登記されているが、建物の扱いが未整理になる
  • 建物を売るのか、解体するのかで揉める
  • 建物所有者と土地所有者が一致しているか分からない

未登記建物であっても、相続財産であることに変わりはありません。

そのため、遺産分割協議の中で、誰が建物を取得するのか、建物を登記するのか、解体するのかを整理する必要があります。


リスク4. 解体・建て替え時に手続きが混乱する

未登記建物を解体する場合、法務局に建物登記が存在しないため、建物滅失登記の対象にはなりません。

ただし、固定資産税の課税台帳に建物が載っている場合は、市区町村への届出が必要になることがあります。

一方で、登記済みの建物を解体した場合は、建物滅失登記が必要です。

相続した古い建物では、次のようなケースが混在していることがあります。

  • 母屋は登記済み
  • 増築部分は未登記
  • 倉庫や車庫は未登記
  • 取り壊した建物の登記が残っている
  • 固定資産税台帳には建物があるが、法務局には登記がない

このような場合、まず「どの建物が登記されていて、どの建物が未登記なのか」を整理する必要があります。


リスク5. 保険や各種手続きで確認に時間がかかることがある

未登記建物でも、火災保険に加入できる場合はあります。

ただし、保険契約や保険金請求、建物の所有確認の場面で、登記簿以外の資料による確認が必要になることがあります。

たとえば、固定資産税課税明細書、建築確認関係書類、売買契約書、相続関係書類などです。

登記がない状態では、建物の所在、構造、床面積、所有者を客観的に説明する資料が限られるため、手続きに時間がかかることがあります。


未登記建物を相続した場合の流れ

相続した建物が未登記だった場合、まずは建物の状態と今後の方針を確認します。

状況

検討する対応

建物を売却する

建物表題登記、所有権保存登記、相続関係の整理

建物をそのまま使う

建物表題登記、必要に応じて所有権保存登記

建物を解体する

未登記建物の扱いを確認し、市区町村への届出を検討

土地だけ売却する

建物を解体するか、登記して売却するかを検討

相続人で共有する

遺産分割協議、登記方法、将来の売却方針を整理

増築部分だけ未登記

建物表題変更登記を検討

未登記建物を相続した場合は、必ずしも一律に同じ手続きになるわけではありません。

建物を残すのか、売るのか、解体するのかによって、必要な対応が変わります。


建物表題登記とは

建物表題登記とは、建物の物理的な情報を法務局に登記する手続きです。

登記される主な内容は以下です。

  • 所在
  • 家屋番号
  • 種類
  • 構造
  • 床面積
  • 新築年月日
  • 所有者

建物表題登記を行うことで、法務局に建物の登記簿が作成されます。

不動産登記法では、新築した建物または表題登記がない建物の所有権を取得した者は、所有権取得の日から1ヶ月以内に表題登記を申請しなければならないとされています。

建物表題登記は、土地家屋調査士が扱う表示登記です。


所有権保存登記とは

所有権保存登記とは、建物の所有者を権利部に登記する手続きです。

建物表題登記によって建物の登記簿が作られた後、必要に応じて所有権保存登記を行います。

所有権保存登記は、司法書士が扱う権利登記の領域です。

売却や融資、担保設定を予定している場合は、建物表題登記だけでなく、所有権保存登記まで求められることがあります。

一方で、建物をすぐに解体する予定がある場合などは、登記を行うべきかどうか、費用対効果も含めて個別に検討する必要があります。


未登記建物を登記するために必要な資料

未登記建物の建物表題登記では、建物の所有者や建築時期、構造、床面積などを確認する資料が必要になります。

代表的な資料は以下です。

  • 建築確認済証
  • 検査済証
  • 工事完了引渡証明書
  • 工事請負契約書
  • 建築図面
  • 固定資産税課税明細書
  • 名寄帳
  • 売買契約書
  • 相続関係書類
  • 遺産分割協議書
  • 被相続人との関係が分かる戸籍資料
  • 建物の写真
  • 現地調査資料

古い建物では、建築確認済証や工事完了書類が残っていないこともあります。

その場合でも、固定資産税関係資料、相続関係資料、現地調査などをもとに、登記の可否や必要資料を検討します。


費用と期間の目安

未登記建物の登記費用は、建物の状況や必要な手続きによって変わります。

手続き

費用目安

期間目安

主な専門家

建物表題登記

8〜15万円程度

1〜3週間程度

土地家屋調査士

所有権保存登記

3〜10万円程度

1〜2週間程度

司法書士

建物表題変更登記

8〜15万円程度

1〜3週間程度

土地家屋調査士

建物滅失登記

4〜8万円程度

1〜2週間程度

土地家屋調査士

建物表題登記と所有権保存登記をあわせると、10〜25万円程度になることがあります。

ただし、古い建物で資料が不足している場合、相続人が複数いる場合、増築部分がある場合、建物の構造や床面積の確認が複雑な場合は、追加の調査や資料収集が必要になることがあります。


未登記建物かどうかの確認方法

未登記建物かどうかは、次の流れで確認します。

1. 固定資産税課税明細書を見る

まず、毎年送られてくる固定資産税課税明細書を確認します。

建物が記載されているのに、家屋番号がない、または未登記家屋と記載されている場合は、未登記建物の可能性があります。

2. 法務局で登記情報を確認する

次に、法務局で建物の登記事項証明書が取得できるか確認します。

土地の登記簿はあるのに、建物の登記簿が見つからない場合は、建物が未登記である可能性があります。

3. 名寄帳を確認する

市区町村で名寄帳を取得すると、その人が所有しているとされる固定資産の一覧を確認できます。

名寄帳に建物が載っているが、法務局に登記がない場合、未登記建物の可能性があります。

4. 土地家屋調査士に相談する

資料だけでは判断が難しい場合は、土地家屋調査士に相談します。

現地調査、登記情報、固定資産税資料、建築関係資料を照合し、どの登記が必要かを整理します。


よくある質問

Q. 固定資産税を払っていれば、登記済みですか?

いいえ。固定資産税の課税と、法務局の登記は別の制度です。

未登記建物であっても、市区町村が建物を把握していれば固定資産税が課税されることがあります。

固定資産税課税明細書に建物が載っていても、法務局で登記情報が見つからない場合は、未登記建物の可能性があります。

Q. 未登記建物は売却できますか?

売買契約自体が絶対にできないわけではありません。

ただし、買主、不動産会社、金融機関から、売却前に建物表題登記や所有権保存登記を求められることがあります。

特に、買主が住宅ローンを利用する場合や、建物を担保にする場合は、未登記のままでは手続きが進みにくくなります。

Q. 未登記建物も相続登記義務化の対象ですか?

完全な未登記建物は、そもそも法務局に登記簿がないため、いきなり相続登記をすることはできません。

まずは建物表題登記によって建物の登記簿を作成し、その後、必要に応じて所有権保存登記を行う流れになります。

ただし、相続によって不動産を取得した場合の相続登記は、2024年4月1日から義務化されています。登記済みの土地や建物については、相続を知った日から3年以内の申請が必要です。

Q. 増築部分だけ未登記の場合はどうなりますか?

建物自体は登記されているものの、増築部分が登記内容に反映されていない場合は、建物表題変更登記を検討します。

たとえば、登記上の床面積と実際の床面積が違う場合や、附属建物が未登記の場合などです。

売却や融資の前に、登記内容と現況が一致しているか確認しておくことが重要です。

Q. すぐに解体する予定でも登記が必要ですか?

未登記建物をすぐに解体する予定の場合、建物表題登記を行うべきかどうかは個別判断になります。

法務局に登記がない建物であれば、建物滅失登記の対象にはなりません。

ただし、固定資産税の課税台帳に建物が載っている場合は、市区町村への届出が必要になることがあります。

また、売却や相続手続きとの関係で、解体前に建物の扱いを整理しておいた方がよい場合もあります。

Q. 未登記建物の登記は土地家屋調査士だけで完了しますか?

建物表題登記は土地家屋調査士が扱います。

ただし、所有権保存登記や相続登記、所有権移転登記は司法書士の領域です。

売却や融資を予定している場合は、土地家屋調査士と司法書士が連携して進めることが多いです。


まとめ:未登記建物は、相続・売却前に早めの確認が必要

未登記建物とは、建物表題登記がされていない建物のことです。

固定資産税を払っていても、法務局に登記されているとは限りません。

未登記建物は、日常生活では問題にならないこともありますが、相続、売却、融資、建て替え、解体のタイミングで支障が出ることがあります。

特に、相続した実家、古い建物、増築部分がある建物、倉庫や車庫がある土地では、早めに登記状況を確認しておくことが大切です。

足立区千住周辺で、未登記建物、相続した建物、増築未登記、建物表題登記について不安がある方は、土地家屋調査士大崎事務所までご相談ください。固定資産税資料や登記情報を確認し、必要な表示登記の進め方をご案内します。

土地家屋調査士 大崎英一

代表 土地家屋調査士 大崎 英一

登録番号 東京都 第8438号

未登記建物は想像以上に多く存在します。相続や売却のタイミングで発覚するケースがほとんどですが、早めの登記で将来のリスクを回避できます。

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